満ち足りた世界
この世界は穏やかで、暮らしに困ることはほとんどありません。畑は実り、川は澄み、冬は越えられます。それを支えているのが魔法と、それを使う魔法使いたちです。
この世界のどの子も聞かされて育つ、三つの物語。この世の始まり。人にまつわる理が五つに分かれた日。そして、血で決めていた争いを永遠に終わらせる競技が生まれるまで。
神話を読む→神話が残したもの。それは平穏で満ち足りた暮らし。
この世界は穏やかで、暮らしに困ることはほとんどありません。畑は実り、川は澄み、冬は越えられます。それを支えているのが魔法と、それを使う魔法使いたちです。
穏やかといっても、争いがないわけではありません。話し合いでも、交渉でも、裁判でも決まらないことは、クラッシュヤードで決めます。家族や村の小さなもめごとから、国と国との大きな対立まで、決められないものはすべて、フィールドで決着します。
この世界にお金はありません。そして、誰も困っていません。物は物と換えます。獲れた魚と屋根の修理を、秋の収穫と冬の薪を。物の値打ちは、相手が何と換えてくれるかで決まります。コインはありますが、それはクラッシュヤードで先攻、後攻を決めるだけのものにすぎません。
ほとんどの人は、生まれた土地でそのまま生涯を終えます。満ち足りているから、離れる理由がないのです。例外は商人とヤーダー。ヤーダーは4年に一度、ファーストヤードで開かれるロイヤルマッチを夢見て旅に出ます。そこは、神々がクラッシュヤードを創り、最初の試合が行われたと言われる場所です。
知られているかぎりの、世界のかたち。
人々は、この世界がひとつの大きな大陸と、それを囲む数多くの小さな島々でできていると信じています。唯一なので特に名前もなく、ただ「大陸」と呼ばれています。
海はいつも荒れていて、船を出すのは簡単なことではありません。島から島への短い渡りでさえ、船乗りたちの語り草になるほどです。
物語は、地図の中央下にあるウェイダー島から始まります。ランプのようにまるい島。その形から、「エルガの灯」というもうひとつの名前で呼ばれることもあります。